デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「王様……」

サラ、と黒髪をまだ恐ろしさにおののく手が優しくなでた。

「悔やんだ。昨日、そなたにあんな……あんな態度を取って、突き放してしまった事」

コツ、と今度は自分の額を合わせる。

「今朝も……そなたの様子を確かめようと思ったら出来たのに……少しは思い知ればいいと、悲しめばいいと」

苦しそうに目をつぶり、歯を食いしばった。

「神罰が下ったと思った。神が私に与え給うたそなたを……悲しませて、無下にしたから。もう永遠に、私からそなたを奪ってしまわれるのだと」

「そんな……」

「気が狂うかと思った……いや、狂っていたかも知れぬ」

額を合わせたまま、震える息をつく。

「すまなかった………桜……」

小さく、心細げに言う彼に首を振りながら、桜はそっと言った。

「ただいまって、言ったでしょう?王様」

紫の目を上げる、愛する人にそっとささやく。

「私の帰る場所は、ここですよ」

そう。あなたがいる場所。