門を出ると、二人は馬をゆっくりとした常歩から軽快な速歩に速めた。
「わ…!」
かくんとした体の揺れに、思わずシュリの腕をつかむ桜。
(ああ、思いっきりつかんじゃった!)
顔が熱くなり、あわてて手を離す。
『ん?大丈夫か?なるべく負担がないように走るからよ、少し我慢しろな』
すぐ後ろで、シュリの声がする。息遣いが、髪で感じられる。
(うう…よく考えたら、これって結構密着してるよ…)
今の今まで余裕がなかったから気付かなかったが、完全にこの体勢は、後ろから包まれているような形だ。
未経験のシチュエーションにすっかり緊張してしまい、体を硬くする。すると余計に、馬の動きでバランスを崩す。
(ああ…なんて無様な…)
じたばたしながら、自分の情けなさに冷や汗が出た。
『おいおい、大丈夫か。おっかしーな…リーはそんなに荒く走らねーんだが』
桜の恥じらいや焦りなどつゆ知らず、シュリは首をかしげる。
そんな二人の様子を、呆れたような顔で見るアスナイ。
結局、桜は鞍の前の部分を両手でしっかり持つという方法で、心と体の安定を手に入れたのだった。
