デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「私……?」

「出血がひどいんだ。すぐに王宮に連れていく。頼む、こらえてくれ桜……死なないでくれ」

無力感に打ちひしがれながら、アスナイは震える声で言った。

「………」

一度、桜がまばたきした。

「王……様…は?」

わずかに眉を寄せ、心配そうに黒の瞳を揺らして、切れ切れに聞いた。

「………!」

その言葉と表情に、アスナイは息を呑む。……そして、全てを悟る。

「桜!」

王の手が、桜の頬を包んで自分に向けさせた。

「王様………」

わずかに開いたその目に彼の姿を映し、初めてごく薄く微笑む。

「馬鹿っ」

たまらず声を荒げた。土と血で汚れた額に、ためらいなく唇を寄せて。

「なぜ、私など庇った!?なぜだ!」

「………」

「私は死なないと、怪我もすぐに治ると、何度言ったらわかるのだ!!なぜ、おとなしくしてくれない!なぜ、自分を大切にしてくれない!?」

言いつのる彼に、ふふ、と弱々しく苦笑いする。

「そうでした……ね…………つい……」