デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

高い音を立ててシャツを裂き、傷の上、心臓に近い場所を縛りあげる。

勢いは弱まったものの、やはり出血は止まらなかった。

「王宮につき次第、王宮神処にて神官に治癒をしてもらう。――誰か!」

王が呼ぶと、一人の武官があわてて出てきて礼をした。

「はっ」

「汝は馬を飛ばし、先に王宮神処にてこれを伝えよ。桜を連れて行くゆえ、準備をしておくようにと」

早口で言い、すぐに桜に目を移した。

「おいアスナイ、どうなんだ、助かるよな?」

シュリも同じようにシャツを脱いで、桜の傷に当てながら聞いた。

「…………」

だがアスナイは、血がにじむほど唇を噛んで、何も言わない。

「おい」

「………」

「何で黙ってんだよ、お前!」

「うるさいっ、この馬鹿!!分からんから黙っているんだ!」

怒鳴り返すアスナイに、王は目を見開き、鋭く聞いた。

「分からぬとは、どういう事だ、アスナイ」