はっ、と桜が小さく息を呑んだのを、すでに背中を向けていたシュリは気づかなかった。
ゆっくりと、人混みに逆らわずに静かに、しかし確実に王の背後に近寄っていく。
何回か出くわしたことのある桜でなかったら、ただの住民の一人だと思っただろう。
近衛達もそれに気づかず、今襲ってきた『魔』の残りや、捕らえられた『魔』が脱走してこちらに来ないかということに気を取られ、目の前に迫る長いフード付のマントを身に着けた者には注意を払っていなかった。
(あの人……!あの、マントの色……!)
間違いない。街に出るたびに出くわした、『魔』だ。
やはりフードを深くかぶっていて、その表情は分からないが、王を手にかけようとしているのはすぐに分かった。
シュリに声をかければよかったかもしれない。
大声を上げて、その人は『魔』だと言ってもよかったかもしれない。
けれど、頭で考えるより先に足が駆け出した。
ごった返す人の波をかき分けて、王のいる大通りの中心に進み始める。
「おいっ!桜!」
気づいたシュリが後ろで呼んだ気がするが、もうその黒い瞳は、フードの人物と王の背後との距離しか見ていない。
ゆっくりと、人混みに逆らわずに静かに、しかし確実に王の背後に近寄っていく。
何回か出くわしたことのある桜でなかったら、ただの住民の一人だと思っただろう。
近衛達もそれに気づかず、今襲ってきた『魔』の残りや、捕らえられた『魔』が脱走してこちらに来ないかということに気を取られ、目の前に迫る長いフード付のマントを身に着けた者には注意を払っていなかった。
(あの人……!あの、マントの色……!)
間違いない。街に出るたびに出くわした、『魔』だ。
やはりフードを深くかぶっていて、その表情は分からないが、王を手にかけようとしているのはすぐに分かった。
シュリに声をかければよかったかもしれない。
大声を上げて、その人は『魔』だと言ってもよかったかもしれない。
けれど、頭で考えるより先に足が駆け出した。
ごった返す人の波をかき分けて、王のいる大通りの中心に進み始める。
「おいっ!桜!」
気づいたシュリが後ろで呼んだ気がするが、もうその黒い瞳は、フードの人物と王の背後との距離しか見ていない。
