デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「ありがとうございましたシュリさん。甘えてしまって……ごめんなさい。帰りましょう」

小声で、シュリを見上げた。

(はあ……なんだよ桜……何て目で、王を見るんだよ)

眉を寄せ、まだ苦しく痛む胸を悟られまいとぎこちなく笑った。

「……ん」

王の隊列と人混みから離れようと、足と馬を大通りの脇の方へと向けて歩きだした。

桜もそれに続く。


……ふと、また王の方を振り返った。


何となく?それとも、また彼の姿を見たかったから?


よく分からない。けれど、もう一度その美しい人に目を向けた。

『魔』の掃討が、こちらの一方的な成功だったことに気が緩んでいたのか、王の周りを取り囲む近衛の輪が、わずかに乱れていた。

王本人は、それを気にすることなく、または気づいていないのか、ひざまずいた上位の武官であろう男性から、報告を受けているようだった。

その時。

桜の瞳に、見覚えのある、フードを被った背の高い人物が、小さく、しかしはっきりと映った。