デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「シュリさん、アスナイさんはいますか?」

「いや……さすがにわかんねーな。この人混みなうえに、武官だらけだから」

「そうですか……」

無事でありますように。

あの、中性的な美貌の微笑みを思い出しながら祈る。

「ま、あの抜け目ない野郎のことだ。簡単にはやられねえよ。そこそこ強えし。……俺には負けるけどな」

桜の心配を和らげたくて、ふふん、と笑いながらおどけてみせた。

その気遣いが嬉しくて、桜も微笑んでこくん、とうなずく。

そしてまた、シュリと同じ方向へ顔を向けて、何とか一目だけでも見えないかな、と顔を右へ左へ傾けた。

すると、その願いが通じたのか。

人混みの隙間と、彼を護る近衛の輪のそれが偶然重なり、少しだけその姿が見えた。

(あ……)

アクセサリーを身にまとい、報告を聞きながら冷然とたたずむ、きれいで頭が良くて……大好きな人。

帰ったら、すぐに昨日はごめんなさいって言おう。

あんなに悲しい思いをしたのに、もう今一目見ることができただけで、きゅんと胸が絞まった。