デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

実践の武官練成所・座学の武官練成校の教官は、両方とも皆優秀らしいな。

しばらく時間がたった現場に、変わらずに馬上で静かにたたずみながら、王は美しい顔をゆっくりとめぐらしていた。

爆発と狼煙の、鼻をつく匂いがまだ濃く漂う中、狼狽して大通りに出ていた住民達が少しずつ落ち着きを取り戻しつつある。
武官達は斬り殺した『魔』の死骸を片付けたり、生け捕りにした者をくくりあげたりと、きびきびと働く。

相変わらず人間がごった返していたが、だんだんと皆大通りの脇に戻り始めた。

「我が君」

一ノ所の統括長の一人が、彼の馬のもとへ来て礼をする。

「此度の襲撃の、首謀者の『魔』の一人のようでございます」

その背後に、大きな片翼から血を流し、白く太い縄で縛られた『魔』が、金色の瞳をギラつかせながら引きずられるように連れてこられた。

王の前へ引き出され、彼のその冷徹な紫の瞳を睨みつける。

「ひざまずけ。礼も知らぬか、蛆虫」

静かに言うと、フンと小さく笑い、ペッと王の馬の前足に血の混じった唾を吐く。

「貴様のような死に損ないの化物に取る礼など知らんな」

「この……!不敬な!!」

ガッ、と二人の武官に頭を捕まれ、地面に叩きつけられる。

王はクツクツと喉の奥で笑い、ひらりと馬をおりた。

「……お前のような者が言うと、なかなかの皮肉だな。少々人の言葉がわかる虫ケラと見える」