デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

いつもは王宮の奥深くにいる憎き自分が、王都の視察に出るとわかったら、必ず襲ってくるだろうとふんでいた。

また、王の外出の際は、大通り以外の住人達は固く門扉を閉ざし、家の中にこもっている。

ならば、襲いやすいのは人の多いこの通り。

そして王である自分を捕らえることができたら、指導者を失い混乱する王都は、人間の格好の狩り場となると思ったのだろう。

だから総力を上げて、自分を捕らえに来たのだ。

………逆に、自分達が一網打尽にされるとも知らずに。

やはり街に潜んでいた、部下の武官たちを取りまとめるそれぞれの駐屯地の副武官長たちへあらかじめ、

『王の視察があった際は、弓矢と剣を携え、大通りにて待機せよ』

との、密かな通達があったとも知らずに。

その通達は当然、宮中の大臣たちも知っていた。

だから昨日まで王の身を案じて、彼が自ら囮になるのは反対していたが。

(……害虫は生命力だけは強い。少々手間をかけねば駆逐出来ぬからな)

感情のない瞳を、腕を斬り落とされ、痛みに叫び声を上げながら縄で縛られてのたうつ『魔』に向けた。

それを見て、少し顔をしかめた。

(……我が王都が、蛆虫共の体液で汚された)

チッ、と冷たく舌打ちして。