デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

だが、まだ完全ではなかった。

何と言っても、王都は広い。おまけに、王都の武官の数がやはり足りない。

だからあの副武官長の謁見のあと、すべての駐屯地の武官長に厳しい箝口令とともに通達を出した。

【各駐屯地から、王都への『魔』襲撃における応援派遣人員を、駐屯地での任務に支障のない数を選定の上、各副武官長と共に速やかに向かわせよ】

と。

各駐屯地から次々に到着した武官達は街に潜み、街に紛れた『魔』を探しながら、今日という日を待っていたのだ。

王都襲撃の日を。

最も遠い駐屯地は、この星の王都の裏側だ。準備期間が一月なら、ギリギリの到着だったろう。
後でねぎらってやらねば。

そして『魔』がどのくらい侵入しているのか分からないため、この広い街のどこで、どれ程の規模の襲撃が、何箇所で起こるのかも不透明だった。

各地から集まった武官達がパトロールしていたとは言え、この人の多さだ。もし手薄なところを同時に複数箇所襲われれば、甚大な人的被害が出る。

(……だから、エサをぶら下げた。こ奴らが必ず食いつく、『王の外出』というエサをな)