あの春、もう新しい友達を作らないと決めた。自分だけ幸せになるなんて許されないから。
大好きな友達の悩みに気づかず、さらに目の前で飛び降りる彼女を助けることが出来なかったのに。
どうして私だけ幸せになることが出来るだろうか。
私の時間はあの日から止まったままだ。あの屋上から動くことも逃げることも出来ずに、ずっと暗闇の中でほたるを探している。出口がどこかもわからずに、ずっと。
――この時の私はまだ知らなかった。
彼との出会いで、止められた時間が少しずつ動き出すということを。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…