クリア・スカイ


 ある初夏の日のこと。ほたるはいつもこっそり僕を身に着けて登校していた。
 担任の先生は、授業が全て終わった後、子供たちにプリントを配っていた。


「家に帰ったら、授業参観についてのプリントを親御さんに渡してくださいね」


 先生の説明に対して、教室にいたほぼ全員が元気よく返事をしていたが、ほたるの声は聞こえなかった。その理由を僕は知っている。ほたるにとっては、親にプリントを渡すことすら勇気のいることなのだ。


 学校が終わると、ほたるはいつも下駄箱で駆と陽咲を待つ。同級生にも友達はいっぱいいるけど、ほたると一番仲がいいのはこの二人だ。

 そして、僕もこの二人のことが大好き。