「なぁ、圭哉。」
「あ?」
そろそろ帰ろうとイスから立ち上がった俺に、コーヒーを片手に持ったままの兄貴がニヤリと笑う。
「………俺が小春ちゃんのこと、本気だって言ったらお前どうする?」
「っ、」
想像もしてなかった言葉に、何も言えずに立ち尽くす俺。
「…正直、どう思ってんの?
お前にとっての小春ちゃんって、何?」
ドクン、ドクン、ドクン
規則正しく刻まれる胸のビートがやけに早く感じて、俺は1つ大きく深呼吸をする。
「…………、」
何か言い返そうにも、何を言えば良いのか分かんねぇ。俺にとっての小春は、ただの世話係で…
いや、その関係もつい2週間前に終わった。
……俺にとっての小春は、
「ふっ、嘘嘘!小春ちゃんは可愛い妹みたいなもんだから。手ぇ出さないから安心しろ。」
「なっ、」
まるで、俺の反応を楽しむかのようにククッと笑う兄貴に、ムッとしながらも内心ホッとした。
………やっぱ、兄貴には勝てねぇじゃん。
何だよ、腹立つ。
俺にヒラヒラと手を振る兄貴を軽く睨んで店を出る。
「鈴木、小春。」
ポツリ漏れた名前に、自分でも良くわかんねぇイライラが募ってくる。


