「圭哉くん?は、離して!」
周りの視線が怖くて、必死に圭哉くんの腕から逃れるべくもがいてみても
私の両手には、カツサンド2つとコーラが今もまだ大事に抱きしめられていて、到底 抜け出すことなんて出来そうにない。
そんな私に、圭哉くんは…
「は?…どの口がそんな事言うんだ?」
私を自分から引き離したかと思えば、片手でほっぺをムニュっとつままれて
「いひゃいっ」
絶対今、口を突き出してタコみたいな顔してるだろうな〜、ともはや他人事見たいに思ってる。
「お前は俺のなんだから、俺に逆らうことも…拒否する事も許されねぇんだよ。」
「っ、」
出た、俺様。
そんでやっぱり暴君。
ふっ、と笑みを浮かべた圭哉くんは、今度は今この状況を興味深そうに見つめるギャラリーを見渡して、
「それから…俺がこいつを選んだんだからな?…選ばれなかった分際で、もしこいつに変な真似してみろ…まとめて吊るしてやる。」
それだけ呟いて私のほっぺから手を離した。最初の柔らかな笑みが嘘のように、低くそして冷たく発された言葉にギャラリーは静まり返って、
反対になぜか私の心臓はドクドクとうるさい。
「け、圭哉くん…」
今のは、もしかして…私が圭哉くんファンに嫌がらせを受けない為に…わざわざ宣戦布告してくれたの、かな。


