ポロポロと零れる涙を、拭うことすら出来ずに立ち尽くす私。
圭哉くんの言葉が、痛い。
辛い、苦しい、切ない。
修くんに別れようって言われた時だって、泣いたりしなかったのに…。
ほら、これが恋ってやつじゃないの?
これを好きって言うんじゃないの?!
この気持ちは何だって言うのよ。
バカ!悪魔!大魔王。
「…帰る。」
「………あ?」
自分のカバンを持って立ち上がった私を、圭哉くんの大きな手が止める。
「お世話係は、ご主人様と一緒に食事なんてしませんから。」
「何言ってんだよ」
私の言葉に、"意味わかんねぇ"と首をかしげ、尚も離してくれない大きな手をパシッと跳ね除けて、私は玄関を出た。
その途端、圭哉くんに告白して振られた…
その事実がズッシリと私にのしかかる。
あーあ、振られちゃった…。
「………うっ、ふ……うぅ〜」
圭哉くんのマンションを出た時には我慢してた嗚咽が一気に漏れて、それを合図に涙は量を増した。


