遠くの光にふれるまで





 天界にある審議所に入ると、そこには天部衆や十王、花筵隊長や、き組の藤原組長がいた。

 みんな深刻な顔をして俺を見ている。

 閻魔王の坂本さんが、厳しい口調で審議の内容と処遇を説明した。


 昨日、あの後、天部衆の数名と十王全員が招集されて、彼女の生前の行いが書かれた閻魔帳と、悪行が映し出される浄玻璃の鏡を使い、俺との交際について調べ上げた。
 参考人として彼女と交流があった藤原組長も呼ばれて話し合ったという。

 人間との交際は大罪。でもその期間が短かったことと、彼女が俺のせいで自ら命を絶ったわけではなく病死だったこと、彼女の生前の行いを考慮した、と。前置きはそんな感じだった。
 どうやら彼女は生前、現世に溢れる霊を助けたり、き組の仕事を手伝ったりしたらしい。


 本来なら極刑に値する大罪だが、全てを考慮した結果、権天使から天使へ二階級の降格。天使部隊副隊長の地位も剥奪、これから三年間部隊を離れ再教育プログラムを受ける。この先十年間人間界への立ち入り禁止と、二十年間藤宮若菜の捜索禁止。

 それが、俺に科された処罰だった。


 彼女のお陰で極刑を免れた。彼女には、何度謝っても足りないな。

 降格も地位の剥奪も再教育も人間界への立ち入り禁止も、何でもないことだ。むしろそれで済んだなら有り難い。
 でも、この先二十年、彼女を探すことができないなんて……。


 天使の時間からしたら、二十年なんて短いものだ。
 二十年我慢すれば、彼女を探すことができる。
 だから俺は誓った。二十年経ったら絶対に彼女を探し出そう。それまで彼女を愛し続けよう、と。

 それまで彼女は、俺を忘れずにいてくれるだろうか。
 六界での生活が終わり、転生して人間界に戻ってしまわないだろうか。

 あれもこれも上手くいかないなら、二十年経っても上手くいかないかもしれない。

 もしそうなってしまったらなってしまったらで、笑い話になる。きっと俺は、涙を流しながら笑う。