遠くの光にふれるまで





「今天部衆と十王が集まって、審議している」

「……はい」

「おまえの処罰は、明朝出るそうだ」

「……はい」

「降格と謹慎は免れない」

「……はい」

「おまえほど優秀な部下はいなかった。部隊にとってこれは損失だ」

「……すんません」

 静かな牢にもう一度、ため息の音が響いた。


 俺は冷静さを失って、先走った。
 長い間世話になった信頼する花筵隊長に話していれば。いや、朝隊舎で隊長と顔を合わせさえすれば、俺の泣きはらした顔を見た隊長が、話を聞いてくれただろう。
 だけど俺は隊長と会う前に隊舎を出て、彼女の噂を聞き、閻魔庁へ乗り込んでしまった。

 あれもこれも、なかなか上手くいかないな。
 ハッピーエンドには程遠い。


「丙、おまえは腕も良いし仕事も早いししっかり者で、部下たちからの信頼も厚い。でも女のこととなると、途端に不器用になる」

「……はい」

「また不器用な付き合いをしてたんだな……」

「……傷付けたまま、離れてしまったんです。それでも彼女は俺を好きでいてくれて……どうしても謝って、気持ちを伝えたかった……」

「そうか。いつか……伝えられるといいな」

「……はい」


 伝えられる日は、来るのだろうか。
 あれもこれも上手くいかない不器用な俺じゃあ、ゴールまで辿り着けないかもしれない。

 幸い俺たち天使には時間がある。
 何年、何十年かかっても、地道に彼女を探し出すことは不可能ではない。

 でもそのときまで、彼女が俺を好きでいてくれるか。そもそも憶えていてくれるかどうか。
 何もかも分からないんだ。
 だからこそ今、すぐにでも会いたかった。

 それももう、叶わなくなってしまったけれど……。


 俺はもう一度花筵隊長に謝ってから、膝に顔を埋めた。

 立派な学歴があろうが、順調に出世しようが、結局は無力。そんな自分が情けなくて仕方ない。