その後も墓参りに行ったり、プールに行ったり、ホラー映画を観に行ったり、怪談話夜会を開いたり……。
花はちょくちょくホラー系のイベントをしたがった。
全員霊が見える体質なんだから、わざわざホラー映画を観に行く必要がない。
怪談話だって「これは本当にあった話です」というのは当たり前、「振り返るとそこには髪の長い女の人が……!」と言われても、いや実際今そこに何人かいるじゃんってことになり、驚きどころが違う。
ちゃんと水着を持って、海にも行った。ただし今度はスイカを忘れ、スイカ割りはできなかった。
あかりが「スイカ食べたかったのにー! お兄ちゃんのバカ! もうお兄ちゃんの好物作ってあげないんだからあ!」と盛大な駄々をこねたから、次の日うちの庭でスイカ割りをした。
その晩はちゃんと俺の好物、ハンバーグを作ってもらった。ちょろい。
この頃になると若菜さんの部屋も大分すっきりして、最小限の家具と家電、日用品しかなくなってしまった。
ソファーも本棚も、テレビすらない。
「テレビくらい残しておけば良かったのに」
「雑貨屋の後輩がね、地デジになって以降テレビがない暮らしをしてるって言ってたから。不便はないって言ってたけど、良い機会だからニュースくらい見なさいってあげたの。代わりにゼリーの詰め合わせもらっちゃった。みんなで食べよう」
それじゃあ若菜さんがテレビのない暮らしになってしまうけれど、パソコンでニュースも見れるし音楽も聴けるから不便はないらしい。
ちなみに俺は、若菜さんが好きで欠かさず読んでいたという作家の小説を一式と、ガラス製のきれいな写真立てをもらった。春一は残った大部分の小説や本棚、花は服やバッグ、小物類をもらっていた。
冷やし中華もお好み焼きもチョコバナナもかき氷もみんなで作って食べたし、釣りや天体観測をしたり、遊覧船にも乗った。
気付けば八月ももう終わりに近付いていた。
若菜さんのことは注意深く見ていたけれど、大きく体調を崩すことはなかった。海のあとはさすがに疲れたのか、ちょっと長めに寝たらしい。
八月最後の日は、うちの庭に集まって花火をした。この日のことは前々から伝えてあったから、昇格試験を控えたヒバリと千鳥も来てくれた。
丙さんも来てくれるかもしれないと期待したが、ヒバリは俺と目を合わせないまま首を横に振った。



