遠くの光にふれるまで










「とうごくん、デートスポットといえば?」

「はあ? 急にどうしたんすか」

 篝火医院で健康診断を受けたあと、篝火先生と一緒にお昼ご飯を食べてジェンガで遊んだ。篝火先生の奥さんは現在海外に住んでいるけれど、毎日ボイスチャットで話すくらい仲が良いから「これは浮気じゃないぞおおお!」とずっと叫んでいた。煩かったけど、いつも通りなのであまり気にならなかった。

 篝火家に長居しすぎたせいで、学校を終えたとうごくんも帰って来てしまって、なにやってんすか、と呆れられたから、そう質問してみたのだ。

 ひのえさんとデートの約束をしてから三日。
 ネットで検索してみたり、雑誌を買ってリサーチしてみたけれど、いまいちどこに行けばいいのか分からない。

「ああ、丙さんと……。どこでもいいんじゃないすか」

「投げやりだなあ」

「若菜さんが今までデートで行ったとこでいいんじゃないすか」

「映画とかスーパーとか?」

「若菜さんデートでスーパー行くんすか?」

「おうちでだらだらするのが多かったの。参考にひのえさんに聞いてみたら、温泉とか料亭って言うし」

「料亭……。やっぱ副隊長ともなるとそうなんすかね」

「うーん……」

 そもそも、ひのえさんとは今までお部屋でだらだらしてばかりだったのに、急にあんなことを言うんだから、お部屋デートがお気に召さなかったということになる。
 でもわたしはあんまりアクティブじゃないから、外でデートと言われても……しかも温泉だとか料亭だとか言われても、ピンとこないのだ。

 映画、遊園地、水族館、動物園、海、日帰り温泉……。意表をついて墓地とか。あちらさんは天使なわけだし。

「いや墓地はだめでしょ」

 八歳も下の男の子に、ずばり言われてしまった。やっぱり墓地はダメか。

「どこでも良いと思うけど。多分丙さん、若菜さんとどこか行きたいだけでしょ。多分」

「うーん」

「デートスポットがピンとこないなら、はっきり言ったほうがいいと思うよ」

 確かに。あれこれ悩むより、最善の選択だ。まさかそれを、八歳も年下の男の子に教えてもらうとは。