遠くの光にふれるまで










「ええ、合コン? いやいや、無理ですって。わたし付き合ってるひといますから」

 前回ひのえさんと会った日から十日。
 タイムカードを切っていたわたしに、店長が思いっきり頭を下げたから、何事かと思えば合コンのお誘いだった。

「私だっているわよ」

「いや、ますますダメじゃないですか」

「だって付き合って丸三年の記念日に、忙しいから会いたくない、記念日なんて煩わしい、なんて言われたら腹立つじゃない!」

「憂さ晴らしじゃないですか」

「ねえお願い! だってファンシー雑貨店員の、世話好きで可愛くて子どもが大好きな女の子揃えるって言っちゃったんだもん!」

 また随分と限定したというか、ハードルを上げたというか……。

「店長を助けると思って、ね! クルミちゃんとツバキちゃんも来るから! 人数合わせってことでいいから!」

 ゆるふわ系美少女のクルミちゃんと、クールビューティーツバキちゃんが来るんじゃあ、わたしなんてきっと目に入らないな。まあ、そのほうがいいんだろうけど。

「若菜ちゃんネガティブねえ。イケメンの恋人がいるくせに」

「だからこそ合コン行きたくないんですよ、心配性だし」

 まあ、もう十日も会っていないし、連絡先も知らないから、今何をしているのかなんて想像もつかないんだけど。

 連絡先は聞かれなかったし、多分あの携帯らしきものは、向こうでしか使えないものなのだろう。だからあの機器で連絡を取り合うことは不可能。そもそも天界と現世で電話が通じたら、どういう原理なの、というより、すごい技術だなってことになる。

「分かった分かった、分かりましたよ。こうなったら最終奥義を使うしかないようね」

「なんですか奥義って。格好いいですね」

「若菜ちゃん、合コンに来なさい、店長命令! 来なかったら若菜ちゃんの勤務評価下げるわよ! ボーナス響くわよー、がっつりいっちゃうわよー」

「……」

 まさに最終奥義だった。
 卑怯な手、とも言える。