ーズキンッ、ズキンッ!!


「っ……!?」


 
心臓に何かが突き刺さるような痛みに、私は胸を抑えてしゃがみこんだ。


ードサッと、鞄が地面に落ちる。



「な……に、この痛みっ……」


ーーー『悲しみ』『絶望』。


この人からは、それ以外の感情が無く、痛みしか感じられない。


「うっ………はぁっ……」


体が痺れて、うまく動かない。

横断歩道の真ん中で座り込む私に、誰一人反応しない。



ー♪~♪~♪~


すると、信号機が赤に変わろうとする音が聞こえた。


やばい……早く立たなきゃ……!!


なのに、体が動かないっ…。


「動いてっ……お願い、動いてよ!!」


バクバクと心臓が鳴り、「はぁっ、はぁっ」と、呼吸が苦しくなる。


近づく『死』にパニック状態になっていると、「静月っ!!」と名前を呼ばれて、腕を強く引かれる。