「あ、良い風が吹いてる……」


私は、髪を押さえながら、定位置である屋上の中央に立って、あの日みたいに澄み渡る青空を見上げる。


青空に手を伸ばすと、太陽の光が温かくて、まるで手を包まれているような感じがした。


「まーた空見てたのか、静月」

「えっ……」


そう言って聞こえてきたのは、蒼大先輩の声。

振り返ると、笑顔で軽く手を上げた。


実は、蒼大先輩が合うのは、あの日、記憶の旅が終わった日以来だったりする。


いつも一緒にいたから、私はなんだか緊張してしまった。



「少し久しぶりだな、静月」


「そ、そうですね……」


私に近づいてきた蒼大先輩は、目の前で立ち止まる。

そして、私の頭をポンポンと撫でた。