はじまりはミステイク




「あっ、フジヤマー」


今日、何度も口にして何度も探していた名前が圭吾くんの口から聞こえた。


「えっ、フジヤマ!?」


「うん。ほら、あそこだよ」


そう言って、私達の少し離れた場所に立っている男子生徒を見た圭吾くん。


「お邪魔虫は退散するな?じゃな、天木っ」


そう言って、圭吾くんはおかしな気を利かせて武道館へ駆け出した。


途端に、私はそのフジヤマの元へ駆け寄った。


「ねぇ、あんたが藤山!?」


「……そーだけど」


やっと見つけた。


一華ちゃん、藤山と会えたよ!


「ごめん、藤山!私」


「あぁ、告ってきた人」


なんだその覚え方!!


「あ、はは、昨日はどうも」


「名前聞いてなかった。あんた名前何?」


なんや、コイツの態度は。


「名乗るほどの者でもありませんが、あのですね、実は昨日の告は」


「名前、何?」


「……天木茉利です」


「ふーん。あまり、ね」


は!?何そのニックネーム!可愛げない!!