はじまりはミステイク




「あーっ、もう放課後だ」


ホームルームが終わって伸びをする。フジヤマ探し1日目は何も収穫なし、とのことだ。


「まりりん、また明日ね」


正門まで一華ちゃんと歩く。彼女とは家が真反対だからここまでなのだ。


一華ちゃんが手を振る。彼女は放課後はコンビニでバイトをしている帰宅部。


「明日もフジヤマ探し手伝ってねー」


「気が向いたらね」


一華ちゃんを見送った後、あることに気づいた。


「やば、ケータイ忘れた!?」


カバンをあさるも行方不明。チッ、机に入れっぱなしだ。猛ダッシュで教室へ向かい、ケータイの無事を確認。


これがなきゃ生きていけないよ、現代っ子だもん。なんてぼやきながら階段を降りた。





「よっす、天木!」


すると、ラッキーなことに圭吾くんと遭遇することができた。


「圭吾くんっ、ギター持ってるってことは軽音部?」


彼の背中にはギターの形をしたバッグ。彼は軽音部なのだ。ギターを弾く姿に惚れた、と言っても過言じゃない。これが圭吾くんを好きになった理由なのだ。


「おう。今日も楽しむ!天木は今帰り?」


「うんっ。ギター頑張ってね」


「ありがとう。天木は気をつけて帰れよー」


へへっ、圭吾くんと話せて嬉しいなぁ。そんなことを思いながら、圭吾くんと別れようとした時だった。