はじまりはミステイク




「俺、そんなにダサい試合したかなって思った」


「それはない!」


藤山の声に反応して、反射的に顔を上げて反論した。


「藤山カッコ良かった。面なんかかぶらないで、顔を見せて欲しいって思うくらい、試合中の藤山の顔を見たかった」


「それ、俺に死ねと言ってるようなもんだよ。あれかぶらないで試合とか」


「ねぇ、もうちょっと嬉しい方に考えてもいいと思うんだけど?今最高に褒めたんだけど?」


いい雰囲気……と思えばいつもの私達。


「お褒めの言葉、ありがとう」


ちょっぴりドキッとする藤山のふとした笑顔。
あぁ、出たこの笑顔。


好きな人じゃなくても、こりゃドキッとしちゃうよ。





藤山と仲直り?してから1週間後、ある昼休みを中庭で藤山と過ごしていた。特に理由はない。昼ご飯一緒に食べようのお誘いがあったから、乗ったのだ。


「つ、次はいつあるの、試合」


前回の苦い試合観戦のこともあるから、もし予定がなければ行こうかなと思い、聞いてみた。