はじまりはミステイク




「あまり。覚悟して来たよ」


「お、おうよ」


「どんなことをされるのかドキドキワクワクで、眠れなかったよ」


「嘘つけっ。なーにがドキドキワクワクよ」


私は立ち上がって教室を出て、藤山の元へ向かうと彼の制服の裾を引っ張って、階段の踊り場まで向かった。


あぁ、藤山だ。


藤山の姿を見ることが出来て、内心喜んでる自分がいる。


【誰かさんのことずっと探してたよ】


【準決勝までいってけど負けちゃって。相当集中出来なかったみたいだね】


その間、一華ちゃんの言葉が私の頭の中を駆け巡る。


「あまり、教室まで来たんだから」


「ご、ごめん」


私は藤山の言葉を遮って、彼に向かい合って謝罪の言葉と共に頭を下げた。


「お、応援するって言ったのに、途中で帰っちゃってごめん」


さっきはあんなこと言っちゃったけど、もしかしたら勝敗に自分が関わっちゃってるんじゃないかって思うの。


「本当だよ。姿なくて本当焦った」


頭上から降ってくる藤山の声。