はじまりはミステイク




「フジヤマ?誰だっけ?」


「うちのクラスにはいないよー」


それから、休み時間の度に他のクラスへ行って、フジヤマって人を探した。だが、なかなかフジヤマは見つからない。


「もう同じ学年は全部回りきったよ」


「せっかくの休み時間、無駄にしたよ。こんのフジヤマのやろー、休み時間返して〜」


5月にしては蒸し暑い今日。ヘナヘナと机にへばりついた私。


「ちょっとまりりん!誰のためにあたしまで協力してると思ってんの?」


はい、すみません、一華ちゃん。


「フジヤマって他の高校だったりして?」


「昨日は不法侵入とか?」


「それはそれでヤバイ展開じゃん」


一華ちゃんと目を合わせて笑い合う。途端にお腹が鳴った。


「一華ちゃん、学食行こうよ」


「だね。私カツ丼大盛りな気分」


「じゃ、私は特盛で」


そして、学食で思う存分カツ丼を食べた私達。午後の授業は満腹で、眠くて眠くて、先生の言葉は全然耳に入らなかった。