「気になる?」
藤山がふっと笑って私を見る。
「べっ、別に!昔ことでしょっ。ほら、次藤山の番だから打って!」
打席に藤山を急かすも、焦ってるのはモロバレってやつだろう。
ヘルメットをかぶって構える藤山。姿格好はなかなかだ。飛んできたボールに藤山のバットが当たり、ボールはヒット欄へ。
「やべ、あまりより下手だ」
「私をナメないでくれたまえ!」
何気ないことで笑って、何気ないことを気にして。
藤山といるの、すごく楽しいなって思えたんだ。
だからさ、藤山。
「ねぇ、藤山」
「ん?」
私に思い出をちょうだい。
「あとでプリクラ撮ろうよ」
形に残る思い出を、ちょうだい。
「あまりがあと10本ホームラン打ったらね」
そんなの打つに決まってるじゃん。
「マジで打ったね、10本」
「こればかりは有言実行。ほら笑って笑ってー」
《いっくよー。3・2・1♪》
カシャ


