はじまりはミステイク




「場所、変えよっか?」


藤山が尋ねる。


だけど、だけど……


「ううん、ここでいい」


誰に見られてようが関係ない。


……って、思うけどなかなか次の言葉が出ない。


見られてる、よね。


でも、でも……


「あまり、遠回りして学校行こう」


そう言った藤山が、学校へ向かう別ルートへ歩き出した。慌ててチャリを押しながらその背中を追う。


このルートは学校に行くには遠回りだから、さっきの道より通る人は少ないはずだ。


カラカラカラ……


2台のチャリの音。私達の2人の足音。


木の葉が揺れる音。


藤山は言葉を発さない。


待ってるんだ。


私の、話を。私の、言葉を。





「……藤山」


「うん?」


「聞いてくれる?」


「うん」


そして立ち止まった私達。


チャリを止めて向き合う。