はじまりはミステイク




そんな中で、今は私は藤山と2ショット。


へへ、いつもより早く出てきてよかった。


こうやって藤山と学校に行けてるんだもん。


藤山がなんで誘ってくれたのかも分からないけど、それでも一緒にいれるだけで嬉しい。


さっきグチグチ言ってたお父さんに感謝感謝。


「……」


「……」


でも、ずっと沈黙。


何か話題を……何か……あ。


「き、今日のこと忘れてないよね?」


「今日?」


「放課後のことだよっ」


自分からこの話題を持ち出すなんて、とてつもなく恥ずかしいけど……忘れられていないか不安なんだ。予定が入ってるとか言われたら、もうショック過ぎて何も言えないや。


「覚えてるよ」


そう答える藤山は前を向いたまま歩いている。


「……よかった」


そう呟いた私は、藤山から目をそらして俯向く。


嬉しさと恥ずかしさと、いろんな感情が入り混じって……何を話していいか分からない。


放課後のこと、覚えてくれてるとは言った。