はじまりはミステイク




「ありゃ、ごめんな?天木」


「ううん、むしろありがとう。最近ダメなんだよね。藤山に怒ってばっかり……」


怒りたいわけじゃない。


八つ当たりをしたいわけじゃない。


でも、あの藤山の態度は嫌だよ。


拒絶されてるみたいで、悲しいんだよ。


「無理すんなよ」


圭吾くんの言葉に小さく頷いた。


そして、剣道部の練習が始まった。今日はギャラリーは少なめだ。


ペアで技の練習をしている。


私の視線は、藤山に釘付けだ。


さっきみたいな態度を取られても、藤山のことを目で追ってしまう。


うぅ、カッコいい。


その姿を見てるだけで泣きそうだ。


それから数十分、藤山の部活姿に虜になっていた。


今度は数人グループになって対戦をしているようだ。


はぁ、もういいかな。


胸がいっぱいで泣いてしまいそうだから、もう帰ろう。