「まぁ、みんなに知られちゃったし、いろんな声が出てくると思うけど、よろしく!」
「よ、よろしくじゃないよーっ」
「じゃあどうする?もう引き返せないしな」
「もう、圭吾くんのアホ!」
すると、圭吾くんがぶはっと吹き出した。
「な、何がおかしいの!?」
「その顔、俺好き」
「!?」
「天木の怒った顔、なんか憎めない」
こんな時に何言ってんの!?
「意味分かんないっ。熱でもあるの?」
「あるかもしんねー。恋の病かな」
「!?変!圭吾くんおかしいっ!」
そう言いながら私は彼に背を向けて歩き出す。
やだ、圭吾くんといるとドキドキしてくる。
「あ、逃げんなよ天木」
「に、逃げるに決まってるじゃん!」
「まだ話の続きがあんだよ」
その言葉を聞いて、チラッとだけ振り返る。
「剣道の練習、見に来てくれてたんだって?藤山から聞いた」
〝藤山〟
そのワードにドキッとする。


