はじまりはミステイク




「教室に行くの、嫌なんでしょ」


もしかして、朝のことを気にしてくれてる?


やばい、不覚にもドキッとしてしまった。


「あははっ。覚えてくれてありがとう。朝のはびっくりした勢いで、つい恥ずかしくて思わず言っちゃった」


「何それ。じゃあ教室に行ってもよかったの?」


「まぁ、ほどほどにしてほしいけど」


「了解。それで話って?」


そうだった。


今の藤山の気遣いがうれしくて、本題を忘れそうになってた。


「あーうん。そのさ、あの……」


どうしよう。言い出しにくい。


告白が嘘だったなんて、言い出しにくい。


「何?別れ話?」


ちょいビンゴーーー!


「あ、う、その……」


「別れ話ならまだ聞かないよ」


へ?


「それとも、もう好きって気持ち冷めた?」


藤山が少しだけ困ったように笑う。


「そんなんじゃ……っ」


あれ?私の否定の仕方も変じゃん!?