はじまりはミステイク




「圭吾くんが出るバンドを一緒に見たいなと思って」


実を言うと、今私の隣にいる一華ちゃんは文化祭の実行委員で、明日は係の仕事があるため一緒にいれないのだ。だから、1人よりも藤山がいてくれたらと思って誘ったのだ。


「それ見に行く予定だったしいいよ」


すんなりオッケーがもらえた。


「ドタキャンとかナシだよ?」


「はいはい。じゃ、ごめんだけどクラスに戻るね」


そう言って走り去った藤山。


「まりりん、藤山のクラス行かなくていいの?」


一華ちゃんが問う。


「ちやほやされる藤山はゴメンだよ」


「妬いてるの?」


「そんなわけないもんねっ。ただ、藤山のクラスに貢献したくないだけ!」


「何その言い訳。あっ、ポテト買ってくる」


そう言って模擬店へ向かった一華ちゃん。


本当は意地を張っただけ。本当は……


「まりりん、はい」


戻ってきた一華ちゃんがポテトを分けてくれた。ん、塩が効き過ぎだ。