はじまりはミステイク




「ごめん。行けなかった」


午後、一華ちゃんの他のクラスの出し物を見て回っている時に、藤山と会ったのだ。彼は申し訳なさそうに言う。


「クラスの奴に頼まれて、なかなか抜け出せなくて」


藤山のクラスはカフェ。藤山のくせにウエイター役なんかやっちゃって。繁盛したんでしょうね!


「今、少しだけ時間もらって出てきたんだけど……怒ってるよね?」


「怒ってなんかない」


怒ってるというよりちょっぴり残念だった。


いつ藤山がお化け屋敷に来てくれるのかなって、そわそわしながら待ってたんだ。でも、いつまで経っても来なくて、忙しいのかなとは思ったよ。


「うちのクラス来る?」


白シャツにスーツのパンツ姿の藤山が言う。普通に着てるのに案外似合ってるのがまたムカつく。


「行かない」


藤山の問いにツンとして答える私。


「でも、明日付き合って欲しいところがある」


「どこ?」


「体育館」


「体育館?」


キョトンとする藤山。