201X年、7月28日。夏休み。中学3年生の八戸 早名(はちのへ さな)は、グラウンドに立っていた。

今日は部活で学校に来たが、これからの事を思うと何をするにも無気力になり、気分が悪いと言って部活を早退してきたのだった。
グラウンドには誰もいない。どうやら運動部は他校へ試合に行ったらしい。誰もいない、晴れた日のグラウンドを見ていると、何故か何かが起こりそうで胸が高鳴った。

陰で休んでいたが、気になるものを見つけてそれに近づく。
これ、なんなんだろう……
いつも不思議に思っていた。トンネルのような何かで、いつもはフェンスがあって中に入れない。しかし、今日はいつもと違っていた。

鍵が開いている。先生が閉め忘れたのだろうか。いつもは入れない場所、真っ暗で先が見えない……

入りたい

見れば見るほどそう思った。夏の虫たちが、入りなよと言うかのように鳴く。トンネルにも誘われている気分だ。

早名は扉を開け、中に入り進んでいった。