それからというもの彼からの連絡はめっきり増え、

『私の仕事はどう?』とか『生活はどんな調子?』とか私の心配をして、話を聞いてくれる始末。


『どうしたの?
そんな風に聞いてくるなんて? 』
 そう彼に聞いても

『ちゃんと倫子のこと支えたいしね…!w』
  って答える彼。

まわりくどい、まわりくどい、甘い言葉。

『 やめてよ。そんな風に優しくするの…。』
 なんてことも言えず、

『 嬉しい、ありがとう…。』
  なんてことももちろん言えない。

ただ、
『 直人も体壊さないようにね。』
そんな、また当たり障りもないことを。

大丈夫、忘れられる。
忘れて見せる、いや忘れなきゃ―――あなたの気持ちはだってきっと“そう”なのだから……。


 本日4通目の連絡。夕方のこと。
2週間連絡をしないことだってあったのに、4通だなんておかしな話。

『誕生日プレゼント、何がいいの?』
  そうだった、今日は16日、明日は私の誕生日。

彼に自分の誕生日を気づかせられるなんて。

会う予定はなくなっていまったけれど、彼はプレゼントをせめて郵送で送りたいとのことで……

いっそ忘れててくれたらな。
彼の事ひどい人だって思えるのに。
そう思いながら、私は仕事を淡々とこなす。

『何もいらないよ、気にしないで。
プレゼント買う時間取るの難しいでしょう?』
 結局彼に返事をしたのは、いつもの道を帰りながらの事だった。