『なっ!』
私とヘラ様の周りに黒い影が渦巻いて霧もでてきている。
怒神のヘラ様はよく見かける。ゼウス様の浮気はとどまるところをしらないから。
邪気をまとい、戦をかけるアテナ様の様な目をして、浮気相手に襲いかかるヘラ様の姿は邪神そのものだった。
しかし、悲神のヘラ様は見たことがなかった。
(『..これが、悲神のヘラ様…』)
この世の複雑な心境をすべてまぜたような黒い影、人の不安や悲しみの霧。
何故、〝パンドラ〟という一言でここまで悲しむのだろうか。
そんなこと聴けるわけもない。
とりあえず、ヘラ様に落ち着いてもらやなくてわ!!
『.ヘラ様..ごめんなさい。もう聞かないから!..』
「ごめんね。ごめんね、ゆーり」
ついにヘラ様は涙を流した。