お嬢様 × 御曹司

何時間乗っていただろう?


途中、パーキングエリアで休憩をとって、そこからまた2時間ぐらい。


パーキングエリアまでも2時間かかったはずだ。


「どこまで行くの?」


今更ながら場所を聞いておかなかった自分が恥ずかしい。


花は当然知っているのだろう。


答えたのはたけくんだ。


「かなり遠く。お米の美味しいところだよ。ちょっと山奥だから、高速降りてから結構かかるんだけどね。」


「ふーん。」


だからさっきから止まったり走ったりしているのか。


それにしても、電車や新幹線ではなく車を使うところがたけくんらしい。


私、人ごみって好きじゃない…っていうか、嫌いなの。


それを、少しデートしたぐらいで勘付いたたけくんって、すごいと思わない?


「聖夜様、武士様、ただいまより山に入ります。少々揺れるとは思いますので、ご了承ください。」


「はい。大丈夫です。」


三人を代表して私が答える。


逆に、このくらいしか揺れないほうが奇跡だよ。


「臼井様って運転上手なんですね。」


「恐れ入ります。聖夜様、私のことは臼井で構いません。様付けはおやめください。」


「あ、はい。ごめんなさい…」


いや、だけど、家の中にも臼井さんほど年上の人はいないから…


うーん…さすがにさんずけは外せないな。


「では、臼井さん、とお呼びします!」


「はい。かしこまりました。」