明らかに何かよくないことが起こっている。
 メイファンは通りにいる人々に呼びかけた。

「みんな! 聖獣殿に避難しましょう!」

 聖獣殿は守護聖獣の結界に守られている。
 メイファンの呼びかけに応えて、人々は聖獣殿に向かってかけだした。
 そこへ通りの西側から都の役人が叫びながら走ってきた。

「逃げろーっ! 魔獣が都になだれ込んできたーっ!」

 それを聞いて、人々は慌てふためきながら、我先にと聖獣殿に向かう。
 役人は同じ事を叫びながら、別の通りに向かって走っていった。

 めでたいはずの誕生日が、どうしてこんなことになったのだろう。

 次々に襲いかかる不吉な出来事に混乱しながら、メイファンも聖獣殿に足を向ける。
 その時、聖獣殿のある方向に太い光の柱が立ち上った。光の中に現れたのは大きな白い虎、ビャクレンの守護聖獣バイフー。

 上空に躍り出たバイフーは、西に向かって雄叫びをあげた。