ワンリーに促されて木陰の長いすに並んで座る。はるか彼方にシェンザイを眺めながら、メイファンはシンシュで昼食用に買った包みを広げた。包みの中には挽き肉と野菜を包んだ饅頭がひとつ。まだほんのりと温かい。それを両手で持って食べながら、ワンリーの話に耳を傾けた。

「俺の力は千年しか持続しない。それはチョンジーも同じだ」

 千年”しか”って十分すぎるほど長い。その間少なく見積もってもメイファンは十回転生することができる。

「あと何年くらいなんでしょうか」
「暗黒の百年以降になるから、八百年くらいだな」
「え? シュエルーの時からじゃないんですか?」
「娘がチョンジーに捕らえられたら、おそらく再度術をかけられる。それからさらに千年ということになるからな」

 ワンリーはメイファンの手を取り、愛おしげに頬を寄せる。

「おまえと一緒にいられる時間が長くなるのは嬉しいのだが、チョンジーに奪われた間はそれ以上に長く感じられる」

 ワンリーがシュエルーの魂を愛しているのはわかる。魂が転生を繰り返してもずっと愛し続けるのだと思っていた。魔獣の門に期限があるとは知らなかったから。
 魔獣の門の波動を頼りに、門の娘を見つけているとワンリーは言った。門が消えてしまったら、見つけられないのではないだろうか。