朝を告げる鶏の声で、メイファンは目を覚ます。まだ薄暗い部屋の中で身支度を整え、家の外へ出た。

 家の前にある桃畑の隅には鶏小屋がある。メイファンが小屋の戸を開けると、鶏たちが次々に桃畑に出てきた。
 この畑の桃は、ここビャクレンの都を守護する聖獣バイフーへの供物として、メイファンの家が管理している。

 明日は聖獣の加護に感謝する祭りの日だ。この日のために大切に育ててきた桃はほんのりと赤く色づき、たわわに実っている。

 メイファンが鶏小屋から卵を回収し終わった頃、はるか東にそびえ立つ聖獣の住む聖なる山シェンザイの陰から朝日が差し始めた。
 今日もいい天気になりそうだ。

 まぶしい朝日に目を細めて、メイファンは家に戻った。