ホッとしたようにつぶやいて、ワンリーはメイファンを抱きしめる。少しきつく抱きしめた後、おもむろにメイファンを抱き上げた。

「え、ちょっと、ワンリー様……!」

 焦るメイファンを気にもとめず、ワンリーはそのまま祭壇を降りて城へ向かう。

「今日の業務は終了だ。後は明日までおまえとふたりきりで過ごすことにしよう。皆も休んでくれ」

 通りすがりに告げるワンリーに、四聖獣たちは皆黙って恭しく頭を下げた。

「え、まだ日も高いのに、本当にいいんですか? エンジュ様」

 一番近くにいたエンジュに尋ねると、彼はまったく動揺した風でもなくにっこり微笑む。

「大丈夫です。王はこういう方ですから。それに魔獣の脅威が去ったなら、特にすることもありませんし」

 エンジュの言葉に他の聖獣たちも頷く。ジャオダンに至ってはニコニコしながら手を振っていた。

「そういうことだ」

 ニヤリと笑ってメイファンの頬に口づけると、ワンリーは城へ入っていった。少しドキドキしながらメイファンは抵抗をやめる。

 思い返せば、一月にも満たない短い間に、めまぐるしく周りが変化した。ようやく取り戻した穏やかな時間を、今宵はワンリーとゆっくり満喫するのも悪くないとメイファンは思った。



(完)


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