ワンリーはメイファンの手を引いて中央の祭壇に立つ。そして四聖獣に命じた。

「これより魔獣の門を閉じる。霊力を俺に集めてくれ」

 そう言ってメイファンの両肩に手を置いた。
 ワンリーの声を合図に、四聖獣たちの体が白、赤、青、緑の光に包まれていく。加護の儀式の時よりも大きく膨らんだ光は、ワンリーの体に集約されてメイファンにそそぎ込まれた。

 メイファンは眩しさに目を閉じる。体の内側が徐々に暖かくなってきた。熱は次第に腹部に集まってくる。門が開いたとき、痛みを感じたあたりだ。
 やがて熱も光も収まったことを感じて、メイファンはゆっくりと目を開ける。優しく微笑むワンリーと目があった。

「魔獣の門は閉じられた。ガイアンに潜んでいる魔獣の残党も消滅しただろう。ガイアンの安寧は守られ、おまえはこの生涯を終えるまで魔獣に怯える必要はなくなった」

 そこで一旦言葉を切って、ワンリーは真顔になる。あまりに深刻な表情に、なにか新たな問題でもあるのかとメイファンは少し不安になった。少しためらった後、ワンリーが口を開く。

「俺はおまえを愛している。前世から引き継がれてきた魂と、なによりメイファンというおまえ自身を愛している。憂いのなくなった今、もう一度聞きたい。俺の妻になってくれるか?」

 不安は消し飛び、一気に嬉しさがこみ上げて、メイファンは目に涙を浮かべた。言葉に詰まって何度も頷く。そしてようやく一言返事ができた。

「……はい」
「よかった」