聖獣殿に降りた聖獣たちはチンロン、ソンフー、ワンリーの順で次々に拝殿に入っていった。テンセイの聖獣殿はチンロンを象徴する青い色の石造りで他の都より一回り大きい。入り口も広いので大きなチンロンが入っていってもそれほど狭く感じなかった。

 人の姿になったワンリーに手を引かれて、メイファンも拝殿に入る。中央の大きな扉の前には大きな青い龍チンロンが長い体を横に伸ばして座っていた。その横には青い髪に青い瞳で、青い服を着た青年が立っている。先ほどまで一緒に空にいた青い麒麟ソンフーだろう。

 並んだ聖獣の前に立って、ワンリーはこれまでのようにメイファンの手を掲げて告げる。

「聖獣王ワンリーの名において命ずる。テンセイの守護聖獣チンロン、及び四聖獣ソンフーよ。この娘メイファンに加護を与えよ」

 チンロンとソンフーの体から発した青白い光がメイファンの体を包んでいく。四度目ともなれば慣れたもので、メイファンは目を閉じて体の内側に広がる熱が消えるのを待った。
 またいつもの通り。そう思って目を開いたメイファンは、自分の目を疑った。ワンリーの握った自分の手がうっすらと光を纏っているように輪郭がぼやけて見えるのだ。
 目をこすってみるがやはり変わらない。ワンリーの姿は普通に見えているのがまた不思議でしょうがない。

「ワンリー様。私、目がおかしくなったんでしょうか。自分の手がぼやけて見えます」
「あぁ。地上にいるからだろう。シェンザイに行けば光も収まる」