龍は聖獣でありながら、その気性は人に近く、他の聖獣に比べて陰の気に飲まれやすいらしい。陰の気に飲み込まれて魔獣に墜ちたものが黒龍だという。それで黒龍の角から鍛えた剣を魔獣が持っていたのだろう。
そしてメイファンの想像もつかないほど遙かな昔に、地上に降りて人と夫婦(めおと)になり、子を成したものがいるらしい。しかし今その龍がどうしているかは、ホァンロンにもわからないという。
龍の子は当然ながら龍玉を持って生まれてくる。長い年月の内に龍の血が薄まり、龍玉も小さくなっていったのではないかということだ。
「メイファン様は地上に降りた龍の末裔なのかもしれませんね」
いきなり突拍子もないことを言われて、メイファンは思い切りうろたえる。
「え、でもあの玉は産着にくるまれていたと聞いています。私が持って生まれてきたのかどうかはわかりません。それに龍玉は龍の力の源なんでしょう? 母にもらうまで私はあの玉なしでも普通に生活してましたし、玉を手放してからも何も変わりはありませんし」
常になく饒舌にまくしたてるメイファンに、ジャオダンはにっこり笑って頷いた。
「はい。もちろん推測ですよ。そうかもしれないというだけです。でも人は龍に比べて代替わりが早いから、仮にメイファン様が龍の末裔だとしても、人の血の方が濃くなっているでしょうし、龍玉を必要としない体になっているのだと思いますよ」
「あ、じゃあ、ほとんど人と同じなんですね」
「そうです。ご先祖が龍だったかもしれないというだけです」
「はぁ……」
なんだかうまく言いくるめられたような気がしないでもないが、人と変わりないということでホッとした。もっとも、龍だとしてもさっぱりピンと来ないのだが。



