聖獣王と千年の恋を



 鍛冶屋のある通りから角を曲がって聖獣殿の参道へ入ると、ワンリーがいつものように手を握りしゃべることを禁じた。先ほどの別れが尾を引いていて禁じられなくてもしゃべる気にはなれない。メイファンは黙ってうつむいたままワンリーに従った。

 幸い誰にも出会うことなく聖獣殿にたどりつく。石段を上って拝殿の中に入ると、ワンリーはいきなりメイファンを抱きしめた。

「ワ、ワンリー様、なにを……」

 ジャオダンがいる目の前で、いきなりなにを! と思ってうろたえながらジャオダンに目をやると、ワンリーのこういう性格は承知しているようで、彼はいつもと変わらず穏やかな笑顔でこちらを見ている。
 ワンリーはメイファンの動揺など気にもとめず、頭をなでた。

「泣きたかったら泣いていい。リンユーと別れるのが辛いのだろう?」

 メイファンはワンリーの腕に手を添えて小さく首を振る。

「いいえ。別れが辛いというより、また会えると信じているリンユーにウソをついていることが辛いんです」
「そうか。おまえがこんなに悲しむなら、宿に泊まった方がよかったな」
「そんなことはありません。リンユーやチェンヂュさんに会えて、少しの間だけど仲良くできたことはよかったと思いますから」
「ならよかった。落ち着いたら手紙を書くとよい」
「はい。そうします」