ようやく空が白み始めた頃、メイファンは目を開いた。目の前には人の姿のワンリーが寝そべっていて、目が合うとにっこり笑って挨拶をする。

「おはよう」
「おはようございます」

 ただ同じ布団で一緒に眠っただけなのに、なんだか照れくさくてメイファンは目を逸らした。

 あのまま初夜を迎えてしまうのではないかと意識しすぎていたけど、横になったまま他愛のない話をしては、時々唐突に口づけを交わすだけ。けれどずっとワンリーに抱きしめられていて、ドキドキして結局ほとんど眠れなかった。

 不思議なことに、寝不足の時のように目の奥が痛かったり頭が重かったりということがない。食事と同じように睡眠も必要なくなっているのだろう。

 起きるにはまだ早い。することもないので早起きする必要もないのだが、目が覚めたのにごろごろしているのもなんだか気が引ける。メイファンはワンリーに声をかけた。

「起きませんか?」
「まだ早いだろう? もう少しこうしていたい」

 そう言ってワンリーは、甘えるようにメイファンを抱き寄せる。

「ジャオダンが戻ってきたら、ゆっくりしているヒマはないからな。今のうちにおまえとゆっくりしておきたい」

 確かに雷聖剣が復活したら、一刻も早くテンセイの聖獣殿を解放しなければならないだろう。ワンリーとの穏やかな時間はシェンザイまでお預けとなる。
 その前に魔獣の王がいる限り、テンセイの加護をすんなりと許すとは思えない。ワンリーの言うように今のうちにゆっくりと心を休ませておくのはいいかもしれない。

 メイファンはワンリーの腕の中で小さく頷いた。

「はい。もう少しの間ゆっくりしましょう」

 ワンリーは嬉しそうに笑って、メイファンの額に口づけた。