聖獣王と千年の恋を



「この人ね、あたしがこれをかわいいって言ったら気をよくして、そこの引き出し一杯になるほど作って女の子や子どもに配りまくってるの」
「うるせぇよ」

 チェンヂュはふてくされたように顔を逸らしてお茶を飲む。引き出し一杯のシェンウーはリンユーに誉められて嬉しかったのだろう。なんだか微笑ましい。でもそれをからかわれては、チェンヂュがかわいそうなので、メイファンはちょっと指摘してみた。

「でもリンユーもこれをもらって嬉しかったんでしょう? 大切に肌身離さず持ってるってことは」
「え、別にそういうわけじゃ……だってこれかわいいから……いや、だから……」

 真っ赤になってしどろもどろに言い訳をするリンユーを見ながら、チェンヂュも頬を染めている。やはりふたりはただのお隣さんというだけではなく、想い合っているようだ。
 頼みもしないのにリンユーがチェンヂュの世話を焼きたがるのはそういうことなのだろう。メイファンはクスクス笑いながら銀のシェンウーを掲げて見せた。

「私も大切にするね」

 それから少しの間、四人で桃を食べたりお茶を飲んだりしながら、他愛のない話をする。ワンリーは飲むフリをしているだけだが。そして夜も更けた頃、リンユーはきっちり後かたづけをして隣の自宅に帰っていった。