「櫻井さん」 唐突な人名に一瞬で理解できずに、うん?と何とも間抜けな声が出た。 「櫻井さんが買ってきて置いてくれたらしいな。」 その後は待っても言葉が出てこなかったから、自分の席に戻った。 そうか、櫻井さんか。 確かに面倒見の良い櫻井さんなら頷ける。 あとで時間が空いてそうだったら、 お礼を言おう。 櫻井さんは先程の人とまだ話している。 幹部が変わったばかりでやる事が多いのだ。 櫻井さんだけでなく私も忙しいのは同じだ。私はデスクに積み重ねられた書類を上から片付けていった。